反転

反転した!

何もかもが

私に断りもなく反転した!

敵だと思っていたミーコちゃんは猫だった

好きだと疑わなかったコーラは無害だった

ヒットチャートが上から紹介されていき

無関心こそが愛であったと息を絶やして

神様から順番に罰を受ける制度ができた

莫迦みたいな世界になってしまったね

何のためにピアスの穴をあけたのよぅ

御伽ばなしはすべてノンフィクション

だからあなたは間違いなく

存在がフィクションである

タグを消しても居残る劣情

どうしてそのリズムだけ変わらないかを

りろせーぜんとつまびらかにせつめいを

みんながわかるように詳細な弁明大会を

あなたが私だった件

発見は破滅への扉で

飴と飴とだがしかし

私があなただったことはまだ他の「誰も」

気がついていないようだからあだ名まで

欲しがって駄々こねてわめく幼児の首の

ひっかき傷もきちんとあなた(私)だと

それを思ったら可笑しくて眠れないのだ

雪が溶けるのも!

謎が解けるのも!

反転したから全部

なかったことに!

なりますからね!

(ごちそうさまでした)が禁句になって久しく

(いただきます)までが宣告に落ちぶれた朝に

オーバーヒートした優しさは刃の淵を歩きつつ

太陽?もちろん月のことだがもうどこにもない

空を見上げよ、暗い川しか流れない惨憺を

誤魔化すために星々を飾った真犯人が漸く

検挙されました!目、目、目、目、キラリ

もうやめてよぉ

何のためにピアスの穴をあけたのかが

もうわかんないじゃないの

涙を流しても意味は生まれない

反転しても涙は涙でしかないと

透明な感情を反転させた少年が

青にまみれて校庭を駆けてゆく

可哀想に。 ←これも反転します