中央線

街中のネオンサインを消し去って残る文字こそ私の名前

泣きながら生まれてきたしこの頃は笑ってみても咎められない

通過駅に懐かしい名を見つけて頭の中で絶叫をする

繋ぐ手に嘘偽りはありません 冷や汗動悸 いいえときめき

東京をドヤ顔をして通過する中央線に宿る郷愁

いくつもの終わりを見てる線路上をなめらかに行くぼくたちの罪

歴史家が興味深いと言っていたエッグタルトの正しいレシピ

君たちの背伸びのしかたが悲しい 誰もほんとの身長じゃない

定刻を一分過ぎただけなのにいともたやすく呼吸困難

一言も誰も喋らないライナー 乗り違えたか天国行きか