君が見たまぼろし

悪魔が悪魔でいる限り
天使は天使でいられる
正しさが正しくある限り
狂気の境界線が引かれる
(極めて恣意的に)
私はラベリングされる
私に名前が与えられる

この世界のどこに、おかしくない奴がいるだろう。正しさはただの多数決だ。多数のおかしな奴らが正義を名乗って少数派を弾圧している。できあいの都合のいい物差しで、正しくない(とされる)人を測っては、お金に化ける魔法の紙、なんて言ったっけ、あ、処方箋か、それをパソコンで発行するのが彼らのお仕事。間違っても癒しや救いなんか求めちゃいけないよ。苦悩や葛藤を伝えたところで、右耳から左耳さ。

今夜は綺麗だね、雪が。ちらちらと降ってきた天使たちの遺骸、このままこの街にも積もらないかな。君が見たまぼろしの話をもっと聞かせてよ。物悲しいメロディーで歌う女神は、左利きなんだってね。君と一緒だね、ブラウンヘアのショートボブなところも、すぐに泣いてしまうところも。もっといかした話を聞きたかった。君が君である限り、私は私でいられたのに。

金曜の朝、寝坊して起きたら
おかしな人たちが迎えに来た
悪夢にはちゃんと続きがある
君はもう何処にもいないんだ

ちくしょう、それでも私はホメオスタシスを信じるよ、損傷した心でもって、全力で彼らを否定するのさ。この、聞こえてくる歌声もまとまりのない思考も絶え間ない恐怖も、全部自分の一部なんだから、愛しいに決まってるだろ。