晩冬

芽吹いたら底を知らない恋心 晩冬の空に毅然とあれ

「ありがとう」と「愛してる」の言の葉はくすぐったさがとても似ている

灰色の冬を脱ぎ捨て街に出よ 小さな春を捕まえにゆけ

届かないことは同時に尊さを伝えることだと気づいた喪服

iPhoneの画面にたぶんアイはない eyeで追うのは虚しさばかり

あの日から心に決めたことがある 何が何でも生き延びてやる

疲れたら詩歌を食んでみるといい 吐き出したって美しいから

ガムシャラに走った日々も懐かしく香を燻らせ見つめてる今日

いい加減泣いてもいいと君の声 それゆえ私は歩いてゆける

傷ついた、それはいま生きている証 誇れる日まで大切にせよ