角砂糖

どうしても隠しきれない本性を、隠さなくてもいいんだよって、君が目の前で笑っている。許されたいのは、誰も一緒なんだね。

抱きしめたら心の潰れる音がした。こときれゆく君は僕の腕の中で歌を歌う。ずっと聴きたかった子守唄のはずなのに、怖い。

角砂糖が溶けるまでの間、二人は黙って見つめあっていたね。おもむろに君がティースプーンでマンデリンをかき回し始めたから、ただただ驚いたんだ。

命って、あたたかいんだね。果たして僕はそれを知ったよ。どうかしたの? という問いかけに、どうもしないよ、と答えてしまったけれど。

角砂糖の入ったマンデリンが君の喉を潤して、甘ったるい夜が一斉に落ちてくる。ありのままでいいんだよって、あまりにも残酷すぎやしないか。

今夜も眠れないと思う。君のせいだ。

僕の前にはホットチョコレートが運ばれてくる。それはなぜか酸っぱくて、期待していた甘さではなかった。フォームドミルクまで僕の思いを裏切っている。

告白します。僕は、君を手にかけたいのです。

君はお見通しだったね、僕のこんな浅ましさなど。だからこそ、角砂糖を三つも入れて、僕に、執行猶予を与えたんだ。