4ヶ月近く美容室をサボっていた私が予約を入れたことに意義がある

うざバングってなんだ。ナチュラルなテンションで「ソバージュ」とか「ショート」と並んで「うざバング」という単語に出会った。それは、初めてドローンという言葉を聞いて「黒くてうねうねした一見不気味だけど心根は優しい新種のあやかし」だと思っててその実、黒いのは当たっててちょっと不気味なのも当たっていたけどそれ以外は全くの見当違いだったときの衝撃によく似ている。 

職場に、金髪ギラギラでヴィヴィアン・ウェストウッドが大好きで、でもそのブランドは高くてあまり買えないからそのあたりの系統の古着をめっちゃカッコよく着こなしているお姉さんがいる(ちなみにうちの職場は髪色をはじめとしてファッションが自由だ。いや、正しくは「なにかと自由」だ。ゆえに一人ひとりに自律が求められるが、それはそれで創意工夫の宝庫である)。スパイクとかラメとかがついている服をするりと着こなすその様は、問答無用で素敵だ。私は面白がって、書類を持っていくついでにそのお姉さんの服にゴテゴテついている金属の装飾等をつっつくのだが、それが日々の密かな楽しみである(そしてそういう時にまんざらでもない表情で「おーい笹塚シゴト邪魔すんなー」とか言いつつ、たまに私の頭をなでなでしてくれるので罪深い女性だと思う)。

そのお姉さんが、昨日突然髪の毛を真っ黒にしてきた。いや「真っ黒」というよりは「カラスの濡れ羽のごとき漆黒」といったほうが正確かもしれない。そしてその艶やかな黒髪に、うねっとウェーブパーマをかけてきたのだ。これは、ヤバめにいってヤバい。黒いウェーブに控えめながら要所はおさえているメイク、そしてチャコールグレーのワンピース……。

惚れてまうやろー!! というかもう惚れているだろー!!みたいな。

で、速攻で私はそのお姉さんの生まれ変わった艶髪を触りに行きました(コピーを取るついでという口実だったけど、コピーを取ることのほうがついでだった)。私の中指と人差し指にしなやかに絡む黒髪。うう、これは素敵だ。素敵すぎる。むずむずと赤面する私にお姉さんは刺すような視線を私に向け、ニヤリと笑いました。

「なかなかいいもんでしょ」。

っあああーっ!! はいっ!!(こうして人は堕ちていくのだよ)

というわけで明朗行動・単純明快・シンプルイズベターを地で行く(それ以外の生き様は知らん)私めは、さきほど自宅の近所の、いつも仲良くしてくれている美容室に予約を入れました。その美容室は個人経営で、イケメンパパ(マスター)とゆるふわ癒し系ママが二人三脚で経営しています。ママは私とそんなに年齢が変わらないらしいのですが、「子どもが反抗期かも! ちょっと早過ぎないっ?」とか(お子さんはまだ小学校低学年)「駅の北口に新しいカフェができたみたい! クーポンもらったんだ~」とか、私としては非常に有益な情報交換ができる仲です。個人的に90年代カルチャーの話ができるのが嬉しい。

で、予約を入れたんですね、メールで。今週末にカットとパーマをお願いしたいと。そうしたらマスターから返信で、「パーマっていってもいろいろあるけど、どんなの希望?」と。「パーマ」といって私の思い描くものが相手にそのまま伝わるわけがないのは、もしかしたらバーバルコミュニケーションの限界なんだろうか(たぶん違う)。

というわけで、マスターに説明するために、とあるビューティーサロンのサイトを勉強として眺めていました。そこでエンカウントしたのが、冒頭の「うざバング」です。気になって調べてみるのですが、私は自他共に認める「検索下手」なので、無尽蔵に出てくる情報の取捨選択に疲れ、「知らないことが多いほうが世の中楽しいよね」と自己暗示をかけてしまったために「うざバング」の定義はいまだに知らないままです。「うざバング」があるのなら「うざくないバング」もあるということだろうか。その場合はわざわざ「うざくない」という表現を使わず「バング」と表されるのだろうか。つか、バングって何だ。そしてそれがうざいってどういう状態だ。なんでわざわざ時間とお金と美容師さんの技術・労力を費やして自分をうざく演出するんだ。わからない。わかんなーい! いいんですいいんです、おそらく今この瞬間もっともうざいのは、なかなか収束してくれない思考回路を手なずけられない私自身なのでしょう。くすん。。

で、結局疲れてしまったのでマスターには「髪の毛の長さはあまり変えることなく、強めのウェーブをかけてほしいです」と伝えました。するとマスターから衝撃の返信が。

「ご来店時に髪の状態を見せてもらった上で、直接相談しましょう」

わー!! コレ割と最初の返信で書いてほしかったやつだ!!!

いいんですいいんです(今記事2回目)。それで解決するなら別にいいんです!(と、また自己暗示に取り掛かってみる)というわけで、今週末は時間を工面して久々に美容室に行くことにしました。職場のお姉さんみたいにはなれなくても、「気分を上げる」意味で、私としては超重要イベントなのです。

いやー、以下はわかってくれる方に伝わったら嬉しくて笹塚感涙モノなんですが、インターネットのヘアカタログって、見たときは「コレいいなー」って思って美容師さんに「この髪型にしてください」ってお願いして、その通りのオーダーが通ったとしても、仕上がって鏡を見たら「なんか違う……」ってなりません? あれね、理由はたった一つなんです。カットモデルさんがみんな自分よりとてもかわいいからなんです。あ、当たり前的な? だから何、的な? そうだよね、そうですよねー。ごめん。

いいんですいいんです(3回目だよー)。職場のお姉さんみたいにシュッとした無敵オーラが出せなくても、モデルさんたちみたいにかわいくなれなくても、4ヶ月近く美容室をサボっていた私が予約を入れたことに意義があるんですから(クーベルタンが生きてたらハリセン食らいそうな発言)。

あと、何はともあれ放置された前髪が私の視界をなにかと阻んでくるのが不便です。以前、節約目的でセルフでチョッキンしたら悲惨な結果を招いたので、今では前髪カットも美容師さんにしてもらっています。前髪カットだけならワンコインなんですよー、しかもタイミングが合えば(他に待っているお客さんがいないとか)、ゆるふわママさんとほっこりお茶もできるんですよー。

今回は通常カット+パーマなので、諭吉さん一人と英世さん数人とはサヨナラの予感ですが、気分上げるのってプライスレスじゃないですか(キラキラと堕ちた目を今まさに、あなたへ向けています)。

なんだっけ? あ、そうそう「うざバング」ね、よくわかっていないんだけど、たぶん私には似合わないと思うの。あと20歳くらい若くないと似合わないとか(でも仮に自分がローティーンだったとしても選ばない気がする、言葉の響き的に)。って、ここまで書いておいて週末にマスターに「じゃあ、うざバングとかどう?」って提案されたら「あ、それでー」って流されるほどには、私は意志の弱い人間です。