目を閉じてそれでも灯る蛍火よ

子のいのち託した蛍去ってゆく

雨傘の柄に重なったふたりの手

紫陽花にスマホを向ける老いた父

結ばれず自由を知った夏の蝶

クーラーのリモコン権が火種とは

よく冷えた瓶に頬寄せ笑う子よ

扇風機若さも過ぎた穏やかさ

舞い込んで我を癒すよ迷い蝶

汗をかくグラスに残したきみの名