開花宣言宣言

値札さえ与えられず

都合の悪さを携えて

焼きたてのパンのことを考えている

春、魔物を産んでしまったから

古アパートでほどけた安い自我が

フリースタイルで追われ果てた

ずっと笑っていたのが私で

そばで泣いていたのが私で

逆回転する柱時計が

午前二時を指し示し

宙ぶらりんの戦略が

ベストセラーになる

風車(やめなさい)

語る(やめなさい)

(やめなさい)桜(やめてくれ)

騙る(やめなさい)

沈黙(それでいい)

緑の雨が降り注ぐ日

私の中に流れる緋色

空は真っ青でずるい

混ざれば真っ黒くろ

サイレンはフェードアウト

なかったことになるのです

愛、募集する広告の隅に落ちた

風船の上でハイヒールを履く女は

出来の悪い虹の根っこを切って

笑われることにはもう慣れたけれど

焼きたてのパンの幻

ただただ芳しくある

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真珠によく似たぬるい目をして

街を徘徊する羽目になったから

君が記録にちゃんと残しておけ

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桜さえ綻ぶんですから

私だって致し方ないと

どうかご寛恕ください