1

苦しくて金木犀を手折るきみ逃れられずにそこかしこ秋

2

冷凍庫の奥に隠した金魚たち人を恨むか夏を騙るか

3

満月は欠けてゆくのみ きみはまだ白紙の手紙燃やせずにいる

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二つめの月は青色回転灯まちの上気を牽制している

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手折られた金木犀の鋒をあなたに刺せば豊かなる秋

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もし羽が生えたとしてもそのとなり私のためにとっておいてね

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冷凍庫から取り出して湯をかけて動いたそれを命と呼んだ

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金色の多摩川渡る特急の七人がけのみんながスマホ

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新月は満ちてゆくのみ きみはまた万能ねぎをみじん切りする

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その背中はだれのものにもならないで羽が生えたら還っておいで