月明かり

1
月明かり寂しい人だけ乗るバスのエンジンになるあなたの涙

2
カーテンをはさみで引けば月明かりあなたの寝息聞こえてました

3
理由などあとからでいい今はただ月明かりのせいにしてさわって

4
曇天をともに憎んでいられたら明日あすもふたりはふたりぼっちだ

5
月はまた満ちてゆくから壊れても大丈夫って教えてあげる

6
欠ける月こころに積もる黒い澱なにもかももうあなたのせいだ

7
左手が月を見るとき震えるのたぶん自分じゃ気づいていない

8
バス停で月を待つひと緩やかに破滅に向かうからんころんと

9
子守唄なんてやめてよ月明かり泣かない理由をなくしてしまう

10
月がもしふたつあったら寂しさも2倍になっていた可能性