短歌 こめかみ
1 慟哭を胸の奥底に閉じ込めきみはいちごを最後に食べる 2 ジャムもいいそのままもいいあれこれを間違えたってきみは正しい 3 こめかみに居座る声に狼狽えて「誰か」と呼べば私がいるよ 4 抱きしめる天に中指突き立てて笑われ…
1 慟哭を胸の奥底に閉じ込めきみはいちごを最後に食べる 2 ジャムもいいそのままもいいあれこれを間違えたってきみは正しい 3 こめかみに居座る声に狼狽えて「誰か」と呼べば私がいるよ 4 抱きしめる天に中指突き立てて笑われ…
1 生真面目に首を振ってる扇風機に人さし指を深く突っ込む 2 お手紙を書いてみました彼岸には BY AIR MAILで届きますか 3 適切に検討しますしっかりと議論を重ねあとは知らない 4 「満月はよつ葉バターのパンケー…
1 踏ん張ったのは私だけじゃなかったプラごみの山に見える美学 2 ただいまを言ってもらえると思った無人の部屋にさす冬の陽光 3 来年の干支がへびだと思うとき今年は辰と思い出してる 4 流星を見ようとドアを開けたけどきみは…
1 だめな人がこのクッションに座ったらちゃんとなれると思って買った 2 あれは星? それとも人工衛星? どちらにしても消えてゆくけど 3 絶望をする価値もないこの脚で地を踏みしめて空き缶を蹴る 4 雨じゃない降っているの…
1 土曜日があなたのせいで雨になる好きにならないわけないだろう 2 癒されてほしくない傷だってある生々しいと美味しそうでしょ 3 風船は割れてはじめて風船を欲しがった日に音符を添える 4 燃え盛るほどに心は弱くなる焼き場…
雪解けは終わりの合図、春 そしてきみは言うんだ 「はじめまして」って 笑顔が似てきたね、と藍子に言われて以来、ときどき鏡に向かって笑ってみる自分がいる。夫婦は似るものだとよく言われるけれど、私たちも例外ではないようだ。 …
1 ありがとう、みんな大好き。なんてフラグっぽいから絶対言わない 2 万が一死亡フラグが立ったならその折り方を教えてくれよ 3 師走入りいて座のきみは誕生日近いことなど気にしていない 4 おきてる? ときいてくれたのに …
1 靴下は片方なくすと気づくでしょ素足を寄せるこの音が好き 2 スイッチは軽い気持ちで押しましたまさか全員消えちゃうなんて 3 「愛だよね」確認された瞬間に愛じゃなくなるなら愛じゃない 4 鼻唄は洗濯機にも伝染し土曜の昼…
1 万華鏡 説明責任から逃れ数字となった人々の夢 2 飼っているインコが死ねと言い出した取り返しっていくらでつくの 3 平準化された笑顔で渡される林檎を嚙る芯はへし折る 4 人の声じゃないといいねあの家はペット禁止のはず…
1 カレー屋の屋号が変わった気がしててチェックのためのバターチキンだ 2 新宿のエスカレーターのくだりに終わりがないと思わなかった 3 各停はだめなわたしをだめなまま古書とカレーの国へ導く 4 踊れないアルゴリズムはリズ…