夏の終わりとマリー

夏の終わりと君のエコーが 重なったときに蝉は逝く 猫はいそいそ秋支度 落ち葉の衣を探してる 澄まし顔した少女が 君のくしゃみに驚いた マリー、僕は無条件に悲しくなる 嘘をついたね また一つ 嘘をついた…

応答セヨ

変わり果てた声を 聞かせたくて歌っています 卑劣な貴方は耳を塞ぐでしょう その論法で何人葬ったの? 犬が果てている路傍で せっかちに盛夏を待つ青年の こめかみに棲みついた妄想は 彼に新しい刃を握らせた…

ミックスジュース

ミックスジュースを飲んでみる 悲しくなってグラス割る 1+1を間違える 悲しくなって酒を飲む モモイロペリカン旅に出る 悲しくなって 名前呼ぶ おお そこの君! 忘れものだよ ゴムボール 夜が来てまた…

ルルよ

愛猫のルルが旅に出たので 僕もそろそろ身支度を始めます 紫煙の向こう側をそろそろ知らなきゃいけないから 君には暗号だけ残しておきます グリル転置式で解けましょう 貴方からの手紙は 燃やしました 宝物し…

クラゲ

ここから夢方面へ300kmにある 海には少女が浮かんでいます 水母という名前の あるいは海月という名前の ふよふよと 月夜の晩、ハサミを持った青年が 孤独を切り取り海に飛び込みました それは美しい光景…

「きれい」

ああ、雲が泣きます、怒ります いままでずっと 大切に持っていた 「!」 を白い包装紙と青いリボンでくるんで あなたに届けます 開けた途端に驚いてください いままでずっと 大切に持っていた 「?」 を黒…

過去形の花嫁

その日は漢字テストで 初めて100点をとった日で ペシミストのお姉ちゃんが 仰々しく祝福してきた 100点なんてなかなかとれないよ 足の指でソナチネを弾くくらい とってもすごいことなんだよ 海老反りを…

星座になる

傷を見せ合って 時に舐めあって 浸る感傷にも飾りがついたら 帰るべき場所をやっと見つけた 二人、寂しかったよ 一緒にいても 足し算できない孤独が纏わり付いて 傷をきらびやかにさせたんだ 三拍子から変拍…

予報外れ

心にも予報外れの雨が降ります するとわたくしは もう 孤独を知った気になって かさかさの肌の下で とろとろと血が流れているなんて 信じないことにするのです 母から始めて叩かれた日 父から哀れな目で睨ま…

青と素数

女が感傷に浸り 手首の傷跡をなぞる夜 素数を数えていた男は ふうっと息を吐く それがとても白かったものだから すっかり冬ねとこぼしても 男はメルセンヌ数を逆さにして ひたすら暗誦しているばかり 私は2…