短歌 茶がうまい
1 ボーカルは私がやるよ風は吹け青葉を揺らしざわめきをくれ 2 学はあるでも品がない金はある 「優等生」を辞書で引いたら 3 ストローで吸いきれなくて諦めた恋もあったと今は笑える 4 生きる意味なんて要らない茶がうまい風…
1 ボーカルは私がやるよ風は吹け青葉を揺らしざわめきをくれ 2 学はあるでも品がない金はある 「優等生」を辞書で引いたら 3 ストローで吸いきれなくて諦めた恋もあったと今は笑える 4 生きる意味なんて要らない茶がうまい風…
1 うん、でもね証拠は? なんて言われても事実は変わらないと思うよ 2 あの月はくじらの夢に顔を出し漂う意味をわたしに許す 3 ことなかれ主義が正しい顔をする教室 でも風はいつか吹く 4 できることよりもできないことを知…
1 ほんとうのことはどこにも書いてない彼の宇宙の中にだけ在る 2 その線を越えてしまった者だけの|地球《ほし》の悲鳴を映した瞳 3 嫌味って言った口こそ腐るのにミントを噛んでまた誤魔化すの 4 逆上がりすればあべこべの街…
「ソイチャイティーラテのホットを頼みたかったのです」 僕の彼女は、落ち込んだ様子を見せながらもチャイティーラテのアイスをストローで勢いよくすすった。4月にしてはやけに肌寒い日。そろそろ桜も散りはじめだが、「散り際の花も趣…
1 春なのにいや春だから怖くなるきみの鼓動が優しすぎると 2 波風を立てない範囲で暴れてたあの子もあの子も四角いあたま 3 誰よりもきみが好きだと伝えてもきみは誰よりきみが好き ああ 4 散ってゆく桜は好きだそのうちにふ…
1 あの鳩も夢を見ている飛べるはず飛べるはずって叶わぬ夢を 2 親指の爪に灯った三日月を噛んでふくめてきみを見上げる 3 未来から来たと言い張るおじさんが駅のホームで鳩に追われる 4 それで今あなたは飯を食えている私の傷…
1 からっぽの鳥かごに手を突っ込んで「いない」とこぼすきみの黒い目 2 微笑みに西陽がさして浮き上がる君の本性をきみは知らない 3 花のした唯一無二になりたいと願えばざあとさざめく彩度 4 水槽をずっと見ているきみの目が…
1 セオリーやテンプレートが怖くなるセロリが好きでなんだかごめん 2 反論をするよりセロリ噛みながら視線を逃がすサクサクサクサ 3 理解者を自称する者にご用心 空は誰にも支配されない 4 曇天が人を不安にさせるのは可能性…
1 いい加減メインストリートを征く者が美しくないことに気づいて 2 綻べばそれが冬への引導と目も合わせずにきみはつぶやく 3 わかってるずっと一緒は無理だって風になったら窓を開けてね 4 二日目のカレーはそっとあたためる…
1 春の街ただよっている憂鬱に魔法をかけたとしてもふたり 2 乗り越えてなんかいなくて何度でも傷は暴れるそれでも春だ 3 柔らかい刃を首にあてたまま笑うみたいな青春でした 4 魔法でもなんでもないよこの街の隅で静かに揺れ…