短歌 オービス
1 落ちている小鳥へ向ける祈りあり雑踏に溶けるきみの狂気は 2 祈りますきみがそのままきみらしく私を殺したくて在ること 3 約束は生きていくよの宣言だオッケー、みんな死ぬまで生きろ 4 ささくれのたったひとつも許せない夜…
1 落ちている小鳥へ向ける祈りあり雑踏に溶けるきみの狂気は 2 祈りますきみがそのままきみらしく私を殺したくて在ること 3 約束は生きていくよの宣言だオッケー、みんな死ぬまで生きろ 4 ささくれのたったひとつも許せない夜…
1 伏線の回収業はオプションでどんな帳尻でも合わせます 2 身を守るためにまとった繭なのに暗い冷たい寂しいくさい 3 トラウマが疼いていても言い訳にだけはしないよ 頬に木枯らし 4 たぶんまだ気づかれてない煩悩だネイルオ…
1 だめな人がこのクッションに座ったらちゃんとなれると思って買った 2 あれは星? それとも人工衛星? どちらにしても消えてゆくけど 3 絶望をする価値もないこの脚で地を踏みしめて空き缶を蹴る 4 雨じゃない降っているの…
あれからどれくらいの時間が経ったのか、そのこと自体を考えなくなっていた。 何日、何ヶ月、いや何年経ったのだろう。僕が「あの日」のことについて思考を至らせたのは、その年の年末(とされる時期)の寒い日に、ゼロイチが編み物の編…
動機など、どうでもよかった。ただ僕たちは、目的を定めず生きることを目的とし、いずれ訪れる「死」に焦がれて、自らそれを手繰り寄せることだけを希求しているのだから。 ノイはあれ以来、鳴き声を発さなくなった。アオは心配して餌を…
厄介なことになった。リョクウを解毒した際にミズの血液を大量に摂取したアオに、不要な感情が芽生えてしまったのだ。 不要な感情、それはいわゆる、恋愛感情というやつだ。 ミズは相変わらず平然と下着姿、ときに全裸で自由に読書など…
ゼロイチは、アオにされるがまま何度もしたたかに体を浴室の壁面に打ち付けられていた。背中の羽が何本も無残に散って、その場の空気を乱すようにふわりふわりと待っている。 「やめるんだ、アオ」 僕の制止に対し、アオはぎろりとこち…
この世界で認識可能な事象のすべては表裏一体でありシンメトリであると、僕は自分にとっては話すまでもないことを3人に伝えた。 ミズが「じゃあ認識できないものは当てはまらないのね」などと的外れなことを言うので、僕は「認識の可能…
僕の眼球には明け透けな青空が映し出されている。昔、宇宙飛行士と呼ばれたとある女性はこう言ったらしい。 「地球は、青かった」 と。 けれども、今日が偶然そうであっただけで、人類史末期に人間たちが縋ったあらゆる歪んだエネルギ…
アオは慌てて懐からペンライトを取り出し、ほうぼうに散ったノイの残骸たちに照射する。 「ノイ……ノイ!」 アオの呼びかけに応えるように、青白いひかりを浴びた肉塊たちがいっせいに蠢きだす。 「アオは、ノイのことが好きなんだね…