今日の短歌 住民票
1 ビー玉を狙ってラムネ瓶を割るようにまっすぐ欲しがってくれ 2 海を見に行こうと床のきみがいう約束じゃなく命令として 3 ベランダで夏の星座を探してるきみに缶チューハイを差し出す 4 きみがまた下手な口笛を吹くから悲し…
1 ビー玉を狙ってラムネ瓶を割るようにまっすぐ欲しがってくれ 2 海を見に行こうと床のきみがいう約束じゃなく命令として 3 ベランダで夏の星座を探してるきみに缶チューハイを差し出す 4 きみがまた下手な口笛を吹くから悲し…
青い舌出し笑いあう夏の宵 梅雨明けよ飛行機雲の伸びる空 道半ば転んでもなお青嵐 玉の汗すべり落ちるかまるい頬 夏の月付箋だらけの文庫本
風薫る洗いざらしのワイシャツよ 涼風よつまびくショパン午後三時 隊列を外れ自由を知る蟻よ 五月雨が地を打ち弾む三連符 へいぼんな日々は宝よ麦茶飲む
1 天井を見上げるふたり日曜は約束なしで手をつなぎたい 2 泣き出したゼブラゾーンを行くきみは無口なままで傘をささない 3 引き返すつもりがあれば愛なんて言葉を使うわけないだろう 4 留守電にいまだに残るきみのこえ消去ボ…
1 ソーダ水こぼしたとたん「運命」を口ずさむきみ指揮するわたし 2 錠剤に向ける視線の邪魔をする きみが見るべきなのは私だ 3 降り立ったホームでカーディガンを脱ぎ風に教わる夏への扉 4 もし栞になれるのならそばにいてと…
1 「ごめんね」を言い出せないで夕飯後渡すつもりのコンビニプリン 2 街あかり きみはあらゆる寂しさに若草色の栞を挟む 3 昼寝するとなりで雨を眺めてる すき の呪文はまた独り言 4 ピリオドを消し去りたくて加速する空も…
1 はんぶんこしたコロッケの少しだけ大きいほうを牽制しあう 2 コンロの火とろとろ見つめ手をつなぐ地球も星のひとつと気づく 3 ラッシュ越えきみ待っている家に着く一等賞はいつもわたしだ 4 ワイシャツがはためく午後にラジ…
うつろいを告ぐ蝶々の瞬きよ べにをさす誰もがやがて春惜しむ 平和こそ心に架かる初虹よ 春愁にひとりラジオの沈黙か 猫の子の生意気なこと花まるぞ
1 寂しさのしっぽをそっと撫でてやる怒りに変化させないために 2 さよならは音も立てずにやってくる春だ春です春であるとき 3 我が家ではテレビは地球と同じで壊れかけても気づかれずいる 4 論破して浸る優越感よりもおつりを…
1 まぼろしを見た帰り道待つ人のいる意味じんと踏みしめながら 2 窓辺にはなお泣きじゃくる少女わたしがいて四月の空に雨を呼んでる 3 抱きしめてあげたい人がいることが現うつつにも降る涙の理由 4 これ一生消えない傷だ笑う…