短歌 ああ
1 春なのにいや春だから怖くなるきみの鼓動が優しすぎると 2 波風を立てない範囲で暴れてたあの子もあの子も四角いあたま 3 誰よりもきみが好きだと伝えてもきみは誰よりきみが好き ああ 4 散ってゆく桜は好きだそのうちにふ…
1 春なのにいや春だから怖くなるきみの鼓動が優しすぎると 2 波風を立てない範囲で暴れてたあの子もあの子も四角いあたま 3 誰よりもきみが好きだと伝えてもきみは誰よりきみが好き ああ 4 散ってゆく桜は好きだそのうちにふ…
1 あの鳩も夢を見ている飛べるはず飛べるはずって叶わぬ夢を 2 親指の爪に灯った三日月を噛んでふくめてきみを見上げる 3 未来から来たと言い張るおじさんが駅のホームで鳩に追われる 4 それで今あなたは飯を食えている私の傷…
1 からっぽの鳥かごに手を突っ込んで「いない」とこぼすきみの黒い目 2 微笑みに西陽がさして浮き上がる君の本性をきみは知らない 3 花のした唯一無二になりたいと願えばざあとさざめく彩度 4 水槽をずっと見ているきみの目が…
1 セオリーやテンプレートが怖くなるセロリが好きでなんだかごめん 2 反論をするよりセロリ噛みながら視線を逃がすサクサクサクサ 3 理解者を自称する者にご用心 空は誰にも支配されない 4 曇天が人を不安にさせるのは可能性…
1 いい加減メインストリートを征く者が美しくないことに気づいて 2 綻べばそれが冬への引導と目も合わせずにきみはつぶやく 3 わかってるずっと一緒は無理だって風になったら窓を開けてね 4 二日目のカレーはそっとあたためる…
1 春の街ただよっている憂鬱に魔法をかけたとしてもふたり 2 乗り越えてなんかいなくて何度でも傷は暴れるそれでも春だ 3 柔らかい刃を首にあてたまま笑うみたいな青春でした 4 魔法でもなんでもないよこの街の隅で静かに揺れ…
1 とこしえの冬を瞳に抱くきみフォークに憂さをくるくるさせて 2 炊きたての銀シャリ頬張るふたりだし季節外れの寒さも許す 3 日曜の月は私の臆病を責めているのか視界が歪む 4 この街は優しい風がよく遊ぶふたり暮らせば歌も…
1 玉ねぎをこれでもかって薄くするトラウマだって生で食べるよ 2 ポエムかよ ああポエムだよあいつらの思う数倍あたしは素敵 3 永遠について思考を試みるシャットダウンは不可避であった 4 シリアスな顔して差し出す小箱には…
1 どうしてもそれがさだめと言うのならドロップキックで軌道を変える 2 この管を抜いたらきみの待つ家に帰れるのかなコートは何処だ 3 血の赤さ 生きているって確認は一日二回までにしましょう 4 喉の奥にずっと居座る吐き気…
1 拡張子 .tttなんて誰も使ってない忘却は優しい仕組み 2 夜が明けるまで鍵盤の前にいて聞こえる音をきみは想った 3 匂わせた刃むなしく引っ込めたあの人は今 あの人は今 4 おとなしく折り目正しい者たちがスマホ越しに…