うずくまる影に隠れる彼岸花  ときめきは割れた栗たち破顔する  秋薔薇も僕も笑っていいですか  かりがねを見送るだけの独り道  デートには死者に梔子の香水

カラス

しわくちゃの笑顔に結ぶななかまど 誰もみな孤独であるとカラス鳴く 蜘蛛の糸 夫婦の意味を問いかける ラグビーのルールを知らず酌み交わす 命日は忌念日らしい彼岸花

枯葉

しっかりと暑さを惜しむ棒アイス 古本の隅に見つけた私の名 肉筆がむかしむかしのひとの癖 オルゴール僕を彼岸に導けよ プラタナス並木に落とす影ふたつ

短歌 悲観

1 こめかみがなんか痛むと思ったら背後で君が微笑んでいた  2 低気圧のせいにしようかなにもかも しばらく歩き出せそうにない  3 黒猫が忌み嫌われているように私が居ると薔薇も枯れます  4 苦しみをほどくことだけ考えて…

白と黒

僕には夢がある この口からもうこれ以上 クロアゲハが溢れませんように 家に帰ってきた君に 「おかえり」を言えるように この口からもう二度と クロアゲハが溢れませんように 私には願いがある あなたがもうそれ以上 白い妄想に…

謝辞

私が誰のことも笑わないのは 心優しいわけではなくて 誰かをあざ笑うときの自分の醜さを 思い知っているから きれいな言葉や 正しい行動ばかり求めていたら 臆病な自分だけが 水底に残ってしまいました 嘘つき。 嘘つき。 みん…

短歌 妖精

1 番号の中に私の誕生日が隠れてるからスマホごと好き  2 「嫌いだ」と口に出せれば大丈夫 その素直さで生きのびてゆけ  3 石ころは磨けば光るわけじゃない 輝きなんてただの傷あと  4 行列のできる店です みんなして腹…

短歌 恋

1 解像度低めの心携えて行けるところまで行くのが恋 2 スコールのあとあなたが降ってきて少しもできない共感が恋  3 恋のせい ヘッドフォンから洩れ聞こえてきた君の声を遺書にした  4 手のひらに人を何回書いたって喉を通…

僕のためのランパトカナル

今日はランパトカナルについて学びましょう。あなたのためであり、僕のためであり、みんなのためであり、誰もが地球にすべて帰するための貴重な手段の一つですから。 (英)lampatcanal (日)ランパトカナル (仏)la&…

短歌 ひとり

1 言い訳を考えてたら朝が来てああこれだなと太陽を蹴る 2 光あるところの影が私です 必要悪と呼んでください 3 パソコンで「じしょう」と打つと「自らを笑う」と化ける我のスペック 4 事件簿に載らない私の喜劇にもちろん千…