短歌 悲観

1 こめかみがなんか痛むと思ったら背後で君が微笑んでいた  2 低気圧のせいにしようかなにもかも しばらく歩き出せそうにない  3 黒猫が忌み嫌われているように私が居ると薔薇も枯れます  4 苦しみをほどくことだけ考えて…

白と黒

僕には夢がある この口からもうこれ以上 クロアゲハが溢れませんように 家に帰ってきた君に 「おかえり」を言えるように この口からもう二度と クロアゲハが溢れませんように 私には願いがある あなたがもうそれ以上 白い妄想に…

謝辞

私が誰のことも笑わないのは 心優しいわけではなくて 誰かをあざ笑うときの自分の醜さを 思い知っているから きれいな言葉や 正しい行動ばかり求めていたら 臆病な自分だけが 水底に残ってしまいました 嘘つき。 嘘つき。 みん…

短歌 妖精

1 番号の中に私の誕生日が隠れてるからスマホごと好き  2 「嫌いだ」と口に出せれば大丈夫 その素直さで生きのびてゆけ  3 石ころは磨けば光るわけじゃない 輝きなんてただの傷あと  4 行列のできる店です みんなして腹…

短歌 恋

1 解像度低めの心携えて行けるところまで行くのが恋 2 スコールのあとあなたが降ってきて少しもできない共感が恋  3 恋のせい ヘッドフォンから洩れ聞こえてきた君の声を遺書にした  4 手のひらに人を何回書いたって喉を通…

僕のためのランパトカナル

今日はランパトカナルについて学びましょう。あなたのためであり、僕のためであり、みんなのためであり、誰もが地球にすべて帰するための貴重な手段の一つですから。 (英)lampatcanal (日)ランパトカナル (仏)la&…

短歌 ひとり

1 言い訳を考えてたら朝が来てああこれだなと太陽を蹴る 2 光あるところの影が私です 必要悪と呼んでください 3 パソコンで「じしょう」と打つと「自らを笑う」と化ける我のスペック 4 事件簿に載らない私の喜劇にもちろん千…

短歌 灰

1 我もまた少女だったというひとの思い出に載る灰のアルバム 2 悲しいと爪を噛む癖を叱ってくれたあなたの影を踏んでた 3 その人が絶対であり神であり愚者であったと気づくのが恋 4 大切を大切にして大切に抱えていたらグレー…

短歌 クレヨン

1 偶然だ 血が赤いのもぬるいのもなかなか止まることがないのも 2 ブラウスのピンクのしみは確実に君に恋した盛夏の残滓 3 オレンジを食べた! 朝から君のこと早く壊してみたいと願う 4 たまさかに君の生存を知ったよ 鳥よ…

天使の遺言

笑えと言われたから笑ったの私いい子ですから 死ねと言われたから攣ったの私いい子ですから  それで、いつ愛してもらえますか  そんなことより頭が痛い 頭痛が痛いって誤用かな 本当の本当に誤用かしら 正しさの反対側を見たい …