短歌 秋の残滓
かけっこは今も苦手だ欲しいものに手が届きそうで届かないから 友達と一緒にされて立つ腹も恋の一部とわきまえなさい 夢なんてもう見れないと泣く君の手を温めることを夢見る アイルビーバックと残して去る人にアイドンウェイトの走り…
かけっこは今も苦手だ欲しいものに手が届きそうで届かないから 友達と一緒にされて立つ腹も恋の一部とわきまえなさい 夢なんてもう見れないと泣く君の手を温めることを夢見る アイルビーバックと残して去る人にアイドンウェイトの走り…
1 さかさまの夕焼けを見た帰り道 たぶん僕らは無敵だったね 2 小さな手 握り返したぬくもりを忘れてしまう仕組みが憎い 3 手放した記憶たちがまた居座って青春のやり直しをさせる 4 退屈な質問をしてすみません 私のどこが…
1 繰り返しお伝えします この僕は君の前では嘘がつけない 2 寂しいと呟くことが寂しいとホットココアに溶けてく言葉 3 ため息も白くなってく霜月のドアの向こうに君が待ってる 4 いつのまに育った気持ちだったのかわからない…
1 思い出が美しいなんて決めないで 今から汚すつもりでいるの 2 最近の流行をよく知らなくて「今どき?」なんて言われ嬉しい 3 街路樹にコートを掛けてあげたいと言ったあなたにくるまれたいよ 4 初めての夜がはらりと遠ざか…
1 いい加減私の気持ちに気付いて そして隣で天気を当てて 2 未来ならフリーハンドに描くから軌道に貴方を必ずのせて 3 暗闇の中にいるからこそ光る君の絶望は宝物だ 4 目を閉じてひとりっきりのフリしてもまぶたの裏であなた…
1 寒いより寂しいが勝っているとまだ貴方には伝えられない 2 強がりは積もれど雪にならなくて遠くで白が手を振っている 3 背中から羽が生えても安心だ 君が残らず毟ってくれる 4 いま君が隣で風邪をひいていることが実は嬉し…
1 二番目じゃだめなんですと涙声 掴んだ袖に嵐の予感 2 告白がまるでこれでは告発だ 誰が君の心を踏んだ 3 時ぐすりが効いてきたから大丈夫 私あなたと眠っていたい 4 ただ一人を信じる勇気が生まれて師走の空も笑ってくれ…
私はあなたの傷のありかを知っている。あなたが一番痛がる場所を知っている。知っていながら、そこをえぐる。知っているからそこそ、そこをえぐる。三拍子でえぐる。それが罪になるのなら、もう恐れるものは何もない。失うものといえば太…
貴方が寝ぼけ眼で毎朝淹れてくれるコーヒーは、私にとって幸せの香りだ。駅前で買ってくるそれらは、専門店で挽かれてその場で真空パックされる。鮮度を保つために。 私は、たまに貴方を真空パックにしたいと思う。刻一刻といつかやって…
「君を、抱いていいの」 まるで罪の告白、或いはあどけない脅迫。それは前奏のないポップスのように明け透けだ。 私は許しを与えるように首を縦に振った。 「本当に?」 疑心暗鬼に支配された言葉。信じられないということは一種の弱…