短歌 ふたり暮らせば
1 とこしえの冬を瞳に抱くきみフォークに憂さをくるくるさせて 2 炊きたての銀シャリ頬張るふたりだし季節外れの寒さも許す 3 日曜の月は私の臆病を責めているのか視界が歪む 4 この街は優しい風がよく遊ぶふたり暮らせば歌も…
1 とこしえの冬を瞳に抱くきみフォークに憂さをくるくるさせて 2 炊きたての銀シャリ頬張るふたりだし季節外れの寒さも許す 3 日曜の月は私の臆病を責めているのか視界が歪む 4 この街は優しい風がよく遊ぶふたり暮らせば歌も…
1 玉ねぎをこれでもかって薄くするトラウマだって生で食べるよ 2 ポエムかよ ああポエムだよあいつらの思う数倍あたしは素敵 3 永遠について思考を試みるシャットダウンは不可避であった 4 シリアスな顔して差し出す小箱には…
1 どうしてもそれがさだめと言うのならドロップキックで軌道を変える 2 この管を抜いたらきみの待つ家に帰れるのかなコートは何処だ 3 血の赤さ 生きているって確認は一日二回までにしましょう 4 喉の奥にずっと居座る吐き気…
1 拡張子 .tttなんて誰も使ってない忘却は優しい仕組み 2 夜が明けるまで鍵盤の前にいて聞こえる音をきみは想った 3 匂わせた刃むなしく引っ込めたあの人は今 あの人は今 4 おとなしく折り目正しい者たちがスマホ越しに…
1 待ってくれ 切なくない失恋 とか そもそも 恋 じゃ なっかたので は 2 本音だと怒られるから巻きつけたオブラートの味しかもうしない 3 どうしても正解だけがほしいのかタラバのガニは食べちゃだめだよ 4 アドバイス…
1 見たくないところを見ずに礼賛を送るかたちの暴力装置 2 ポケモンの新種だったら捕まえるけどその前に記帳をしたい 3 あくびって幸せなときだけに出るあくびができるそれが幸せ 4 油揚げ五枚入りしか買わないし肌も記憶も曖…
1 「平等」と「優劣がない」との差を知ると眠れなくなるけどなんか素敵だ 2 思春期を終われないまま思秋期を迎えた人が訪ねてきた午後 3 ハイハット・シンバルみたく人生が操作できたら飽きてしまうよ 4 挫折って決めつけられ…
1 春一番友達のままでいたいって友達ですらない人から 咽せた 2 美しいから傷つくのだと励まされこころに春の居場所をつくる 3 疑えるニアリーイコール知性って卒業前に認めてみなよ 4 春よ、来いっていうか頼むから来てくだ…
1 ファイティングポーズじゃなくて寒いから猫のポーズを試みたのに 2 殺す気か! ってよくあるツッコミにニコリともせず満月の下 3 髪の毛を上手く巻けても舌先に口内炎がいる日常だ 4 えらいひと心許せる友達がいないがゆえ…
1 もういない信じたくないでもいない笑えてるって伝えたかった 2 この風に吹かれるための傷だったコートを脱いで空へ晒そう 3 鈴が鳴るあなたはあなたのままでいいとかいう奴はみんな嘘つき 4 きみの目が春を察して立ち上がる…