短歌 優しさ
1 ふりこって誰がどうあれあるがままふれているから羨ましいな 2 心臓の奥の奥より奥のほう 君が粗末に捨てたまごころ 3 優しさは流行らないから味のないガムを選んで渋谷を歩く 4 ふたりして爪を噛むからふたりしてひとりぼ…
1 ふりこって誰がどうあれあるがままふれているから羨ましいな 2 心臓の奥の奥より奥のほう 君が粗末に捨てたまごころ 3 優しさは流行らないから味のないガムを選んで渋谷を歩く 4 ふたりして爪を噛むからふたりしてひとりぼ…
1 断言が断罪になるというのなら早く私を馬鹿と貶して 2 この駅に快速列車が止まらないのも寂しさも私のせいだ 3 鈴虫に唆されて僕はいま誰も知らないソリストになる 4 メロディを重ねるたびに嘘がほらバレていくから早く歌お…
1 こめかみがなんか痛むと思ったら背後で君が微笑んでいた 2 低気圧のせいにしようかなにもかも しばらく歩き出せそうにない 3 黒猫が忌み嫌われているように私が居ると薔薇も枯れます 4 苦しみをほどくことだけ考えて…
1 番号の中に私の誕生日が隠れてるからスマホごと好き 2 「嫌いだ」と口に出せれば大丈夫 その素直さで生きのびてゆけ 3 石ころは磨けば光るわけじゃない 輝きなんてただの傷あと 4 行列のできる店です みんなして腹…
1 我もまた少女だったというひとの思い出に載る灰のアルバム 2 悲しいと爪を噛む癖を叱ってくれたあなたの影を踏んでた 3 その人が絶対であり神であり愚者であったと気づくのが恋 4 大切を大切にして大切に抱えていたらグレー…
1 解像度低めの心携えて行けるところまで行くのが恋 2 スコールのあとあなたが降ってきて少しもできない共感が恋 3 恋のせい ヘッドフォンから洩れ聞こえてきた君の声を遺書にした 4 手のひらに人を何回書いたって喉を通…
1 偶然だ 血が赤いのもぬるいのもなかなか止まることがないのも 2 ブラウスのピンクのしみは確実に君に恋した盛夏の残滓 3 オレンジを食べた! 朝から君のこと早く壊してみたいと願う 4 たまさかに君の生存を知ったよ 鳥よ…
1 わたしもう自分からログアウトして言葉の嘘を撃ち抜きたいの 2 笑われてちょうどよかった過日の碑 解すことのない世界を嗅いだ 3 シンメトリだけが正義の造形か 愛の急所は歪んでいるぞ 4 整った車内アナウンスばか…
1 言い訳を考えてたら朝が来てああこれだなと太陽を蹴る 2 光あるところの影が私です 必要悪と呼んでください 3 パソコンで「じしょう」と打つと「自らを笑う」と化ける我のスペック 4 事件簿に載らない私の喜劇にもちろん千…
1 ひまわりが怖いとないたセミたちの悲鳴を耳にぶらさげる午後 2 結局は影になるのだ 星求め自分探しの旅に出たひと 3 苦しさを分けてあげます あなただけ笑ってるのはおかしなことだ 4 処世術 啓発本に生きるコツ ぜんぶ…