短歌 日曜
1 目が覚めてトーストを焼く日曜日きみの鼻唄もメジャー進行 2 ラジオからふたりの好きなナンバーがフルコーラスでかかる日曜 3 宝物? ゆびわ、ともだち、きみ。プリン食べているから、うん、順不同 4 「太陽とちょうどいい…
1 目が覚めてトーストを焼く日曜日きみの鼻唄もメジャー進行 2 ラジオからふたりの好きなナンバーがフルコーラスでかかる日曜 3 宝物? ゆびわ、ともだち、きみ。プリン食べているから、うん、順不同 4 「太陽とちょうどいい…
1 着火剤よりも苛烈なきっかけがきみであるもう後悔はない 2 孤独より孤立が怖い「助けて」が届かないなら声を燃したい 3 窓ガラスにイニシャルを指でなぞってぜんぶ夕焼けのせいにしたね 4 灯火ともしびを絶やさぬように呼吸…
1 すっぴんで街を歩けばなんとなくだけど心は百獣の王 2 アイブロウ上手くいったらそれだけでいい日認定したい明日は月曜 3 お化粧で隠れるものを数えてるわたしの後ろめたさの数を 4 すっぴんはたぶん最強に弱くて一番星の下…
1 絡まった毛糸をほどく窓辺にて「粉雪だ」ってきみはつぶやく 2 春を待つ(固いこぶしがほころびるよう)祈りにも雪降り注ぐ 3 雪だるまたぶん私のご先祖もそのご先祖もそのご先祖も 4 「極寒の雪国生まれ」寒さにはめっぽう…
1 そのなかに神の文字あり僕たちは何を治しているのでしょうか 2 こころには絆創膏が貼れなくていつになっても血が止まらない 3 夕食後カップを持って行列になって薬を待つ午後七時 4 映画にもカフェにも買い物にも行けず何を…
1 まだ夢を見ているのって笑うひとびとは夢に見限られたひと 2 渋谷系のひとは「渋谷系」って書かれたシャツは着ないよたぶん 3 ああそうかほうちって法治じゃなくて放置のほうか(だからくるしい) 4 三月を待つひとの背に咲…
1 綻びはつまり終わりと笑うきみ拒絶できない桜の便り 2 開花待つ指を祈りの形にし春の日差しを零さないよう 3 「役に立つ」なんて定規は焼き捨てて回転しない木馬を磨く 4 医院から出てきた人と目が合った春陽がさして首を縦…
1 春だから泣いてもいいと告ぐひとは泣く原因になっているひと 2 脚光を浴びることなく散っていく白木蓮の手向てむかう季節 3 雨粒がみんな音符に化けるなら泣いても歌に聞こえるはずだ 4 ベランダに花びらはらりきみからの便…
1 音階の隙間に遊ぶ雨粒がビニール傘を楽器に変える 2 ありがとうなんてやめてよあたりまえでしょういっしょにねむるのなんて 3 ワッフルの窪みに蜜を垂らすまだ許せないことだけ数えつつ 4 プリーツに八分音符をまとわせて風…
1 助手席の寝言に合わせアクセルを強く踏み込むきみの企み 2 それでいい 風を目で追う夕まぐれなんとなくでも生きているなら 3 街はもう桜を忘れあまつさえ市外局番まで気にしない 4 めでたしの続きをずっと紡いでく なんて…