Strawberry Feels Forever
「ぎんいろ」 ゲリラ豪雨が降るのは、もう毎日のことになってしまった。窓に次々と打ちつける雨粒を、きみはフローリングに座って凝視している。日が落ちてきたのでカーテンを閉めたかったけれど、きみはもうしばらく窓辺にいたい様子だ…
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「ぎんいろ」 ゲリラ豪雨が降るのは、もう毎日のことになってしまった。窓に次々と打ちつける雨粒を、きみはフローリングに座って凝視している。日が落ちてきたのでカーテンを閉めたかったけれど、きみはもうしばらく窓辺にいたい様子だ…
ひとりとひとりとが出逢って、ふたりになった。孤独と孤独とを掛け算したかのようなモノクロの虚しさが、日々を重ねるにつれ、いつしか彩られていく。これはそんな、ささやかで、それでいてどこかが強烈にずれている、「ふたり」の、なん…
ある時、きみは僕の前でシャツを脱ぐのをひどく嫌がった。気分じゃないのかと問うたら、そうではないと蚊の鳴くような声で答える。じゃあどうして、と更にきくことはしなかった。きみの目が、ひどく潤んでいたから。 僕は宮廷作曲家の端…
◈梅雨 雨のなか白い紫陽花を睨んで私の名前を呼ぶのはやめて とある日曜日、小雨のときは傘をささないきみが、ふと公園で立ち止まって「アナベル」という名前の白い紫陽花をじっと見ていた。 みるみる、きみの視線は鋭利になっていく…
昶斗えいとの自覚は、夏真っ盛りのとある夜だ。僕、伊知いちが一人暮らししているアパートで、男子二人であほらしい動画を観ながら酒盛りをしていたときのこと。急に黙り込んだ昶斗は、一筋の汗をあごから垂らしながら真顔で、こう僕に告…
言葉より先に、花はそこに咲いていた。私は貴方が貴方自身を望む以上に、貴方のことを想っているの。 沸騰を知らせる甲高い音で、俺はうたた寝から強制的に現実へと引き戻された。緩慢に椅子から立ち上がり、コンロの火を止める。加工さ…
夏休みが始まっても、わたしはあんまり嬉しくない。宿題をたっぷり出されたし、算数ドリルなんて見たくもない。なによりわたしが一番苦手なのが、自由研究だ。何をすればいいのか、全然わからない。 夏休みは「休み」なんだから、勉強な…
ひとりとひとりとが出逢って、ふたりになった。孤独と孤独とを掛け算したかのようなモノクロの虚しさが、日々を重ねるにつれ、いつしか彩られていく。これはそんな、ささやかで、それでいてどこかが強烈にずれている、「ふたり」の、なん…
落ち葉がつむじ風に踊っているのを見ると、たんぽぽのことを思い出す。たんぽぽといっても植物のそれではなく、たんぽぽという名の女の子のことだ。もちろんそれはあだ名で、本名は知らない。出会ってすぐ、好きな花はと訊かれ、僕が特に…
僕はしげしげと目の前の少女を見た。少女は不機嫌そうに僕の視線を受け流している。 「邪魔じゃない?」 単刀直入に僕は言った。 「その羽。空気抵抗が」 少女はダンマリだ。 「不利だと思うんだ」 ショートカットヘアの少女は、ま…