あらすじ
コミュニティカフェ「しえる」は、あらゆる傷を携えて生きる人々の居場所として住宅街にひっそり存在している。不登校から引きこもりになった少女、現実からときどき意識がずれてしまう青年、伴侶を亡くして生きがいを見失った女性……。
「しえる」では、誰もが安心して美味しい食事やお茶を楽しむことができる。なぜなら、どんな人も決して一方的に評価をされることがないからだ。無気力な日々を送っていた朝香もまた、「しえる」との出会いによって一歩踏み出したいと願うようになる。
――けれどすべては、「凪」が起きた後の出来事。だから「彼」は今日も夕焼けを見送る。その胸に、途方もない喪失感を抱きながら。
主な登場人物
橋本朝香(25)
大学中退後、無気力に生活する女性。夕実とは中学時代に同級生だった。
境 蒼斗(??)
コミュニティカフェ「しえる」を運営する地域包括支援センター「シエル」施設長。出生に重大な秘密を持っている。
大沢暁子(64)
「しえる」を手伝っているボランティア。料理はお手の物。カフェに携わるメンバーを見守る。
堀之内明(55)
「シエル」を創設した人物。今は世界のどこかを自由気ままに旅している。
永山小夜(35)
「シエル」の経理担当。さっぱりした性格で蒼斗たちを縁の下から支える。
永山楓子(7)
小夜の娘。天真爛漫な性格で、しえるメンバーに愛されて育っている。
稲城夕実(25)
「しえる」に居場所を見出した女性。中学時代に凄惨ないじめに遭っていた。
堤 晴也(31)
「しえる」のメンバー。ときどき現実から意識がずれてしまう。