光の花束

あらすじ

精神科医の森下芳之は、ある日の夜勤明けに若き男性患者・篠崎隼人と出会う。隼人の口から繰り返し漏れる「ランパトカナル」という謎の言葉。その意味がほどかれて「彼ら」の過去が暴かれるとき、二人の間に不可思議な絆が訪れる。それを、いったい誰に咎めることができるだろう。

人が人を「救う」こととは果たしてどういうことなのか。「救い」が起こるとき、いったい誰が「救われる」のか。(命を無条件に肯定することがなぜこんなにも困難なのだろうか。)問いかけはただ虚しく、「彼」の抱く傷だけがその答えを知っている。

主な登場人物

篠崎隼人しのざきはやと(19)
私立大学の二年生。謎の言葉「ランパトカナル」を零し、幻想と現実の狭間に苦悩する青年

森下芳之もりしたよしゆき(35)
精神科医で、隼人の主治医。徐々に隼人に惹かれていく

小川朱音おがわあかね(19)
隼人と同じ病棟に入院する少女。被害妄想と嫉妬が強く、隼人を疎ましく思っている

菊川きくかわはるか(19)
隼人とかつて結ばれた少女


第一章 邂逅

第二章 要求

第三章 手紙

第四章 悪夢

第五章 告白

第六章 詩集

第七章 過去

第八章 責任

第九章 脱獄

第十章 名前

第十一章 幻影

第十二章 共犯

第十三章 警笛

第十四章 正義

第十五章 決意

最終章 月