1.光の花束
その意味がほどかれて「彼ら」の過去が暴かれるとき、二人の間に不可思議な絆が訪れる。それを、いったい誰に咎めることができるだろう。
人が人を「救う」こととは果たしてどういうことなのか。「救い」が起こるとき、いったい誰が「救われる」のか。
(命を無条件に肯定することがなぜこんなにも困難なのだろうか。)問いかけはただ虚しく、「彼」の抱く傷だけがその答えを知っている。
2.星見ヶ丘
戻らない青春の日々。決して戻らないからこそ、愛しい日々。
約束の場所「星見ヶ丘」で、きっと、星になった「あの子」が待っている。
「君に見せたい、景色があるんだ」 。
果たせなかった「約束」という名の痛みとともに、それでも人は生きていく。
3.桐崎くん
友人の死をきっかけに結ばれてしまった「私」と「彼」の、儚くて、血なまぐさくて、やっぱり甘酸っぱい青春。
「どうか、ロマンを否定しないでほしい」
きみの願いとは、つまり、すべてがやがて地球に還る、そのプロセスをそばで見届けてほしいということ。
私の友人である夏菜子は、今この瞬間も校舎の裏山に埋められたまま、腐敗を続けている。ロマンだなんてきみは言うけれど、私は、それを肯定していいんだろうか。
……っていうか、なんでそんな悲しそうな顔をするの。殺人鬼なら殺人鬼らしく、下品に笑ったりしてよ!
4.浜辺で花火
「今日、この店が閉店したら俺、死んでもいいかな?」
突然の言葉に面食らった聡美だったが、戸惑いつつも彼に一つの提案をした。
「じゃあさ、死ぬ前にひとつ、楽しいことをしようよ」
浜辺で花火をするまでは、死なない。
そんな儚い約束をした、私と彼の、どこにでもありそうな、唯一無二の青春の1ページ。
5.デート
決して私は負けられない。
彼が「決断」してしまうのを、それこそ「必死に」止めなければならないからだ。
ふざけんな、絶対に死なせるもんかよ。
今日もゴングが鳴る。
上等だ、かかってこい。
6.つちとそら
はるかは、とある街で起きた傷害事件をきっかけにして、殺人願望を間接的に満たすために刑事となった男に命を狙われることになる。
はるかの姉、るいが行きつけにしている美容室「テラエシエル」の美容師、秋川浩輔は思わぬ形で事件に巻き込まれていく。
しかし、何が起きたとしても、そのすべてがどこか他人事のようにしか浩輔には感じられない。なぜなら浩輔の心は、すでに滅んだ星の光を、今でも求めているから。
7.純愛とか笑わせんな
(「つちとそら」パラレルワールド)
それを知っていながら、警視庁随一のじゃじゃ馬事務員、若宮は葉山にすっかり惚れ込んでいるのだ。
若宮はいう。
「どうせ殺すなら、私にしてくださいね」。
ヤバすぎる性癖を持つ想い人を振り向かせるために、若宮の無茶苦茶な奮闘がはじまる。