今日の短歌 変わらない日々

1 コンビニでアイスを買ってダッシュしてふたりの夏はそれでも溶けた 2 ケンカしてそっぽを向いた夜なのにJUNKのせいで笑うしかない 3 前髪を切っても気づくきみじゃない目くばせしてもウインクされる …

今日の短歌 アマエビ

1 はつなつの夜の休符よあとがきを恋文みたく指でなぞって 2 月のない夜になるから寂しさをコーンスープに溶いて分けあう 3 走り梅雨 いつか別れがくるなんてとっくにしってるよだいじょうぶ 4 ワイシャ…

今日の短歌 錠剤

1 花束になれない花だけを集めるきみの帰りをベランダで待つ 2 紫陽花が雨を呼ぶ午後 日曜にディミヌエンドのペダルをかけて 3 「ただいま」をふたりの部屋に灯すため星のあかりを連れて帰った 4 錠剤に…

今日の短歌 史上最低

1 紫陽花の抱く雫が涙ならきみが泣いてるわけは問わない 2 月光にランプシェードが揺れる夜わかりあえないからそばにいる 3 まだ帰りたくない駅に続いてる信号機みな赤で壊れろ 4 留守電にいまだに残るき…

今日の短歌 缶チューハイ

1 泣きたくて泣いてるわけじゃないきみがまたそうやって笑ってるから 2 冷蔵庫に住民票を移したい暑いしんどいくるしい暑い 3 きみがまた下手な口笛を吹くから悲しみになど浸れない午後 4 ツユクサと揺れ…

今日の短歌 くるぶし

1 この下になにが埋まっていてもいい月下美人が無事に咲くなら 2 短冊に書いた願いは「わがままはわたしにだけ言え」というわがまま 3 花火背に少し浮き出た頬骨をなぞると髪をなぜてくるきみ 4 半額のシ…

今日の短歌 予感

1 甘噛みのあとで目が合うカーテンを揺らす涼風だけが知ってる 2 火の揺れるのを見つめてる予感とはたぶんあなたのまばたきのこと 3 ろうそくの火を吹き消してさよならは夏に対してだけ告げたはず 4 水槽…

今日の短歌 おやつにしよう

1 寂しさに果てる夜もあるいちかけるいちが2になれないせいだろう 2 深爪は自傷行為かサイレンが近くで鳴る夜は迎えに来てよ 3 虫の音と奏でるきみのひとりごとうわごとねごと心臓のおと 4 ただ空が美し…

今日の短歌 ぶらんこ

1 おかえりを言うためだけに起きているもうすぐ私ロボットになる 2 あんぱんの空虚地帯はカロリーを気にする者のああ免罪符 3 かわいいの最上級にきみの名を冠して辞書を編む秋の暮れ 4 カーディガン重ね…

今日の短歌 判例

1 容赦ない季節ときの巡りに黙りこむコンロの炎とつとつ揺れる 2 おくれ毛にからみつく指ほんのりとみかんのにおい(きみだけだから) 3 カーラジオから流行歌「知らないね」と笑いあう午後たしかにふたり …