今日の短歌 ラムネ瓶
1 宿題をサボって海を見に行った夜のすべてを肯定したい 2 立ち止まる時があるからこそ前に進める意味を噛みしめる夜 3 砂の熱浴びて全力疾走で「後悔」なんて辞書にない夏 4 終わるまで手を繋いでてほしかったずっとそばには…
1 宿題をサボって海を見に行った夜のすべてを肯定したい 2 立ち止まる時があるからこそ前に進める意味を噛みしめる夜 3 砂の熱浴びて全力疾走で「後悔」なんて辞書にない夏 4 終わるまで手を繋いでてほしかったずっとそばには…
1 積読があふれる部屋の隅っこで文字に溺れるきみを見つけた 2 十年があっという間に過ぎてって十一回目の秋桜を待つ 3 ガラス戸にさしこむ夕陽つかまえて囚われているのはきみのほう 4 なにごともなかったように続いてる線路…
1 優しさがときどき怖いサイレンを無視してきみはスープをすする 2 溶けているものがなにかをよく知らずそれでも全部飲み干しました 3 あったかいスープがいいねケンカしたあとに最初に口にするのは 4 消印に知らない地名を見…
1 焼き肉に連れていかれて泣いている場合じゃないしミノは焦げるし 2 つらかったはずなのにいま白米にのったカルビと真剣勝負 3 虹の橋を渡りたいと泣いた夜に大きな傘を差し出したきみ 4 虹の橋みんないつかは渡るからひとり…
昶斗えいとの自覚は、夏真っ盛りのとある夜だ。僕、伊知いちが一人暮らししているアパートで、男子二人であほらしい動画を観ながら酒盛りをしていたときのこと。急に黙り込んだ昶斗は、一筋の汗をあごから垂らしながら真顔で、こう僕に告…
1 お便りは tasukete@アットgod.ne.jp まで 待ってるよ 2 傷跡のない人生はつまらない下味のないチキンみたいに 3 一晩で片づけられたクリスマスツリー 私は笑ってました 4 靴下に穴が開いたら縫えばい…
1 十年に一度の寒波メイクして街を歩けば頬に立つ霜 2 霜柱踏んづけ歩く朝のみち遅刻のわけを誰も責めない 3 晴れた日にこそ降りる霜出会いとは別れの合図(認めたくない) 4 しもやけになるまで待っていてくれた改札口のきみ…
1 カーテンのふくらむ部屋で唇のカサつき舐めるきみだけの刻 2 鬼ごっこごっこのままで終われないぼくらの結節点を誤魔化す 3 遮断機の向こうで笑うきみを見た花束は死骸の寄せ集め 4 帰ったら熱いお茶でも飲みましょう何もな…
1 美男美女ばかり出てくる作品のエキストラにもなれないネイル 2 雨が降る 泣く人泣いてるふりの人 誰の罪かはまだわからない 3 ふわふわの鳥はかわいい羽ばたいて早くお逃げよ(きっと美味しい) 4 きみのため爪を切る夜 …
1 眠りからさめてまもなく迷子だと気づいたきみの見事なターン 2 風呂上がり湯気たつきみのくちびるがオペラをなぞる夏至の夜更けは 3 きみと手を繋ぐスクランブル 卵は手軽に割れるいのちだ 4 きみの目に映る私が笑っててエ…