短歌 それでも、

1 愛しさのあまりおかしくなるなんて正常なことだと思うけど 2 きみの目が夜になるとき雷鳴はわたしの中で それでも、と告ぐ 3 銃口を向ければそれは銃口を向けられていることを意味する 4 弾倉に愛が詰まっていることを気づ…

短歌 チョコミント

1 愛という大義名分 海に行くのではなくって還るんでしょう 2 財源を生命倫理より熱く論じ昂る教授の稼ぎ 3 泣いたあと洗顔をする余力など残らないほど全力だった 4 青い鳥ではなく青くされた鳥ゲニポシド的人間讃歌 5 昼…

短歌 大事なこと

1 おかあさん貴女は星をくれたひと光だすのに許可は要らない 2 転調しもう戻らないポップスのアウトロだけが信頼できた 3 美しくとうもろこしを食べるにはそういう顔をしなきゃならない 4 よわいひと高いスーツに靴を履き錆び…

短歌  値札

1 何度でもふたりの日々は色褪せるだから花屋の近くに暮らす 2 意味のないものではなくて人間が意味を解せないだけの糸くず 3 無意味だと無価値とされるそれが罠だれが値札をつけたか 燃やせ 4 湯上がりに風を感じるリビング…

短歌 いつものように

1 車両内全員がスマホを見ていて突然きみに会いたくなった 2 あの月が落ちてくるから大丈夫 今さら謝罪なんて要らない 3 花束のなかで最初に枯れるのが一番好きな花なのは何故 4 愛工大名電に似たアレなんだっけほらその昔使…

短歌 ばかなふたり

1 ほんとうのことはどこにも書いてない彼の宇宙の中にだけ在る 2 その線を越えてしまった者だけの|地球《ほし》の悲鳴を映した瞳 3 嫌味って言った口こそ腐るのにミントを噛んでまた誤魔化すの 4 逆上がりすればあべこべの街…

短歌 感じるために

1 あの鳩も夢を見ている飛べるはず飛べるはずって叶わぬ夢を 2 親指の爪に灯った三日月を噛んでふくめてきみを見上げる 3 未来から来たと言い張るおじさんが駅のホームで鳩に追われる 4 それで今あなたは飯を食えている私の傷…

短歌 揺れるたんぽぽ

1 いい加減メインストリートを征く者が美しくないことに気づいて 2 綻べばそれが冬への引導と目も合わせずにきみはつぶやく 3 わかってるずっと一緒は無理だって風になったら窓を開けてね 4 二日目のカレーはそっとあたためる…

短歌 きらきらきら

1 春の街ただよっている憂鬱に魔法をかけたとしてもふたり 2 乗り越えてなんかいなくて何度でも傷は暴れるそれでも春だ 3 柔らかい刃を首にあてたまま笑うみたいな青春でした 4 魔法でもなんでもないよこの街の隅で静かに揺れ…