私はあなたの傷のありかを知っている。あなたが一番痛がる場所を知っている。知っていながら、そこをえぐる。知っているからそこそ、そこをえぐる。三拍子でえぐる。それが罪になるのなら、もう恐れるものは何もない。失うものといえば太陽くらいだ。
過去を後悔することは容易で、都合よく改竄された記憶に浸ることもまた同じで、どちらも切なさを超えられない。今どき、囚われの王子様を誰が助けにやってくるだろうか。黒馬で乗りつけたお姫様が檻を蹴り上げるのが関の山だ。
新しい世界?
そこに落ちてるでしょ。
逆再生すると優しくなる子守唄を歌ってください、すべての命令形が服従することだろう。試してごらん。
食べろ!
食め!
食せ!
(優しい目しかできないのかよ)
これじゃまるで呪いだわ、と三日前の悲劇。あなたは呑気に星のよく見える丘の上で風に吹かれている。だから私は、あなたを傷つけたい。私だけが知っている、その場所へ私を塗り込みたい、という意味で極めて身勝手なのです。
おわかりになるだろうか。
暗闇の中では皆等しく迷子だ。
あなたの傷の特効薬は、-50%の確率でランパトカナル。時がいくら経ってもランパトカナル。むかし祈りの言葉にも宿っていたランパトカナル。愚かしい。
三拍子でえぐられたランパトカナルが泣きながら生まれてきて、一直線に終わりへ突っ込む。そこはツーシームでしょ。
高く!
舞い上がったあなたが放った言葉がすでに過去の始まりと亡霊のワルツ、ワルツ、ワルツ
乱数表を眺めるのが好きだったね、悪趣味だって言ってあげれば良かった。シトラスの香りに支配された部屋であなたと二人、互いの傷をえぐりあう。三拍子で。手を繋いであるいは爪を立てて。三拍子で。踊れ。