容易く祈ってはならないと
あれほど言ったのに
お前はまた手を組んで
両目をきつく閉じている
その隙に僕は薄氷の上で
お前の影を盗むのだ
お前がこれ以上何も望まないよう
それを拒絶するならば
回転木馬のことを想え
まわる まわる 怜悧な冬と
悔やむ 悔やむ 厳かな過ち
おわかりだろうか
祈りとはつまり侵襲である
そう伝えた人の体温を忘れたか
めぐる めぐる 命たち
芽吹き 朽ちる 命たち
(全て嘘なら!)
祈りとはすなわちリトマス試験紙
試され気が済んだら捨てられる
祈りとはブドウ味のチューインガム
味を奪われて吐き出される
祈りとはつまるところ縫い目の糸
都合良く形を変え繋がりを保つ
祈りとはタチの悪い暇つぶし
涎を垂らしても許される
ここまで述べてもなお
その目は覚めないのか!
お前は祈り続けて夕飯を待っている
僕は盗みたてのお前の影と
輪舞曲にて踊り始める
夕暮れがあまりにも美しかったから
明日も晴れるってわかったから
今日という日が二度と来ないから
そんな文脈はもう解剖したい
目に映る全てを言い訳にして
取り返しのつかない笑顔で
お前は祈り続けるのだろう
そのまぶたの裏で独り
僕が果てているのも知らずに