短歌 (非)日常

1
幼な子の見上げる空を飛ぶ蝿の祝福の辞など誰も知らない

2
瞳から落つる涙を受け止めるためだけに傘を持ってきました

3
生きている間限定の感覚に溺れぬわけが見つからないわ

4
左手の薬指には約束が血管を殺し巻きついている

5
ラブラブは「愛愛」ですかそれとも「二人」と和訳しますか

6
最近じゃ神様もシフト体制でシームを狙い撃ちする悪魔

7
我が生は各駅停車のごとくある だからこそ知る花の名もある

8
脳天に刻み込まれた歌があり天使がときどきからかいに来る

9
魔法など使えなくてもお前には明日を迎える才能がある

10
空を飛ぶ夢想しながら唐揚げにレモンをかける罪深きひと