ここから夢方面へ300kmにある
海には少女が浮かんでいます
水母という名前の
あるいは海月という名前の
ふよふよと
月夜の晩、ハサミを持った青年が
孤独を切り取り海に飛び込みました
それは美しい光景でした
と、主張するのは童話職人。
捜査一課の主任は書類を等閑に
右手に隠し持っていたピックで
Amで始まるラウドを歌い始めました
それもまた月夜の晩、
もしかしたら誰も彼も自由気ままに
狂えてしまえるのは月のおかげかしら?
と、首を傾げるのは少女と呼ばれた何か。
青年の首筋に棲みついたのは
藤壺でも舟虫でもなく
やっぱり孤独でしたとさ
これはハッピーエンドです
そう断言するのは笑顔分析家。
じき冬がやってきます
世界の忘れものとは
誰のことでしょう