夕暮れの架線
連なる列車の陰に隠れて
パンダが寝っ転がっていた
春風にひらひらと
落ちる梅の花びら見ながら
アスファルトの上にごろんと
これはもしかして非日常ってやつですか?
口当たりはやや偏屈だが
思ったよりドラマチックじゃないのが
どうにも悔しい現状で
ひとつ歌でも歌わそうかと
企んでみてもそのパンダは
「本能より哲学的なもの、なーんだ」
謎謎をかけてきやがった!
そうかこれは夢だと
パンダのほっぺをつねったら
通りすがりの女子高生の群れが
笑いながら去るものだから
ああ夕凪
答えを考えているうちに
パンダは一体どこへやら
しろくろハッキリしているくせに
しろくろハッキリしてくれない
春風が運んだのはたぶん
花びらばかりじゃないでしょう
予報:明日は寒の戻り/梅散らしの雨でしょう。
医師:パンダは当分控えるようにしなさい。
学者:偶然とは必然からの逸脱である。
難しいことはよくわからんが
パンダに同情するのは
とりあえずやめておこう