短歌 萌芽

1
ともし火の揺れるほうへと進んだらあなたが飾ってある植物園

2
たどり着く場所に双葉が生えていて間違いないと確信をする

3
手のひらの上で踊った枯葉ならつい先だって地球になった

4
あなたたちいつか地獄へ堕ちるわよ スパティフィラムをいじめたから

5
嬉しいと芽吹く仕組みの虚しさは悲しみとセットでとても嬉しい

6
最終の電車にて帰る平日の憂さを吸い取るアパートの草

7
思い出は美化されてなお匂ってる調布あたりのアカネを思え

8
走らせた鼓動の分だけ許されるそんな季節はすでに過ぎてる

9
偶さかに出会った子らを天使とし過ぎた日々たちに手を振る子

10
囁きは優しさとして今もなお許されぬ傷に冬の芽を見る