短歌 肌

1
柔らかい熱持つ肌に触れるのが罪になること伝えておくね

2
好きな色の花を探しているけれど手に入ったらば枯らしてしまう

3
憂鬱はお湯をかけると白くなる 冬の吐息がそうあるように

4
身勝手をちゃんと叱ってほしいのに微笑むだけのあなたはひどい

5
あの人は素数を数えるのが趣味で最近真理の近くに越した

6
群れ骨も風邪をひくのは本当で だから誰もが寂しい魚

7
「ありがとう」を伝えられずに冬がきてそれが「ごめん」に化けてゆく空

8
光に手をかざして祈る震え声 ランパトカナル ランパトカナル

9
復習を復讐として満点を回避したのは若さゆえなの

10
同じ目をしている二人とも迷子 ミニシアターで手だけ繋いだ