出口

どこをどう見ても

出口しかないんだ

まだ出たくはない

初めてピアスを開けた日の

鈍い痛みは耳朶が覚えてる

優しくなれない私に代わり

飾りを揺らして泣いている

カーテンだらけの部屋に夜が

星を連れてやってきたけれど

誰も光を知らなかったという

それをどこか遠い国の言葉で

ランパトカナル

というのだそうだ

辞書には載らない

まるで呪文のよう

なんだか素敵だね

魔法の渦中でだけ

呼吸していること

ママには内緒だよ

どこをどう見ても

出口しかないんだ

特急列車は開いて

幾つもの命を吐く

天国を終点として

幼い殺意を掬い取った手の

白いその様を晒してみてよ

人が人を傷つけるその目に

宿った暗い光のことを指し

ランパトカナルは滑らかに

私の胸を只管に滑ってゆく

このまま連れてってよ

流行歌を教えてほしい

せめてその本当の意味

或いは正体を明かして

一緒に祈らせておくれ

気づいたら囲まれて

幸せになるしかもう

術がないものだから

気が済むまで歌って

明日晴れたら決行さ

どこをどう見ても

ランパトカナルしかないんだ

そろそろでしょう