短歌 仮説

1
間の抜けた顔で剥き出しの惰性をかじる君のまつげに浮く汗

2
「星座って孤独を繋げてできてるの」君の仮説を葬り去ろう

3
舌の根も乾かぬうちに発車ベルが聞こえたから旅に出ましょう

4
シャボン玉は壊れるためにあるという秘密を暴き弾けたあなた

5
残酷になれない夏の昼下がり ピアノ線だけ持ってきた君

6
見上げても花火うつむいてもモグラがとろけていやがるから地獄

7
シャム猫が三日月をちぎって分ける夜に星が堕ちても笑える季節

8
唇に君の背中を感じてる どうぞそのまま墜落をして

9
雨なんてどこにも降っていないからもう優しくなんてしないでよ

10
もう二度とあなたが笑えないようにわたし必ず幸せになる