累々とした手と手と手と
滔々とした舌に飲まれて
─私はついに溺れました─
誰も助けてくれなかった
誰もみなスマホを見てた
何が悲しいとは愚問です
見上げた星空の何処にも
約束が見つからなかったのですから
孤独は最早
詠うための言い訳に変質して
灰かぶりは
硝子の靴で王子を撲殺したし
演説家達は
それを認めないと錯乱したし
めでたしめでたしが行方不明になりました
何が空しいのかは不問です
レンジでチンでは温もりが
ふやけてぼやけてしまうのですから
平穏とは実のところ
ひどく陋劣な独善と認識され
月の御姫様は
事なかれ主義者を処刑したし
自称博愛家は
暗がりで自らの舌を裂いたし
ハッピーエンドが焼けただれたのです
人々に踏み潰された花の上に
散々にされた夢の破片の上に
ああ、私は立っていました!
あなたの遺言がポップスと
ラジオから流れてきました
優しかった人が堕ちた事も
ニュースになっていました
オリオンが逃げ出した春の夜空には
ヒトナミに打ち捨てられた眼球たちが
ずっと炯々と地球を睨んでおります
(やっぱり、何も言えない)
どうせ汚れたなら
いつまで経っても
全然美化されない
思い出話をしよう