一等星

うまく叫べなくて
うまくないなって
月の上みたいって
指先ばかり雄弁で

招かれた交歓会で
たくさんの屍肉を
たくさんの人々が
嬉しそうに食んで

うまく叫べなくて
刺々しい気持ちに
支配されてしまう
美しいせいだろう

(怒りとは、寒空の一等星だ)

求める瞬間だけ輝いて
後始末は人任せなんて
ママになんて謝ろうか
パパの顔は泥だらけで
誰にも言えない秘密が
朝刊一面に載っていた

ごめんなさいを殺し続けて
月の上を歩くみたいにして
言い訳ばかり熟練していく
ドミノのごとくみんなして
パタリパタリと倒れていく

パーティー会場には真面目で優しくて繊細な星ばかりが集い、笑顔を交わしてあらゆる屍肉を食んでやまない。明るい弦楽四重奏のBGMが暴いてゆく、星たちの犯した罪はいつまでたっても裁かれない。だって、

人は死んだら、お星様になるの。

月の上を歩くみたいに
叫んでも叫んでもまた
舌がもつれつっかえて
何も伝わりはしないの

嘘つきはビオラ!
いいや1stだ!
違うわチェロよ!
バカな2ndめ!

誰をどんな言葉で貶しても
満たされない星たちが輝き
天国方面を示しているから
もうしばらくこの地獄にて
弦楽四重奏を聴いていよう