今日も風が吹く

こんな日はただひたすら閉じていたい
このまぶたを
かたくなに

(誰々がお前を批判しているよ)
(誰々がお前をネタに笑っているよ)
(誰々がお前を誹謗しているよ)
(誰々がそこかしこで)
(誰々があちらこちらで)

えー、それで、お尋ねしますが、
その「誰々」とやらの遠吠えに対して、
私が限りある自意識を傾けることに、
どれだけの有意性と合理性があるか、
PPTでつまびらかに説明してください。
話はそれからだ

こんな日はただじっと塞いでいたい
この両耳から
ピアスを外して

私の傷跡として脈打つ青春は
その痛みを表明した瞬間に未練に化けて
まだあいつらと水底で薄ら笑っている
カサブタなどもうひっぺがして
早くこの感情に引導を渡してくれ

この世界のあちこちに設えられた
唯一の「平等な席」が意味するのは
何もかもがいずれ終わるということ

有限であることとはつまり
尊く在るということだろう

【◎特選◎早急に滅びてほしいモノ10個】

・名無しの跋扈する掲示板への書込み
・誰彼構わず認めて欲しがる強欲さ
・気にくわない奴の欠点探しが特技
・知識ひけらかし選手権で金賞受賞
・比べあいっこでキャッキャウフフ
・幸不幸の分水嶺の身勝手な支配
・あいつが悪い、自分は悪くない
・空気って読めるの知ってた?
・他人の視線を気にする割に、私を見て見て!
・とにかく私を認めろ!!!!!

☆いくつ当てはまるかな☆
0〜3個 : イイね!
4〜6個 : イイ感じ!
7〜9個 : ヤナ感じ!
10個 : コンプリート! イイね!(どうでも)
【気にしないにかぎるね】

確か沈黙が金だったか

無限なものは即ち無意味だ
無意味なモノを放置すれば
やがて言葉というハリボテを破り
意味だけが亡霊のごとく彷徨って
妄執に侵された人を頭から食らう

お前はそんな者どものために
それでも歌を歌い続けるのだね
不敵かつリズミカルな足取りで
地上へと続く階段を上っていくのだね

ああ、だから今日もまた風が吹くのか
この街に
この惑星に
お前の夏色ワンピースの裾フリルがはためく
この街で
この惑星で
私はただ一つの美しさを見た

お前がこの慈悲なき世界で
それでも光を見放さず
命を見誤ることを恐れず
一つの価値も押し付けるでもなく
生存否定学に全身で抗して
声を荒らげて歌い続ける姿を
私はいつまでも泣きながら
透明な膜の向こう側で
見守ることしかできないけれど

決して忘れないよ
私が/お前が
ここで風を感じていたこと