短歌 天使

1
きみ、天使に間違えられることはない? 僕の視力が落ちたのかしら

2
いくら手を伸ばしたとしても届かない君ならいっそ君ならいっそ

3
人びとの関心を集めた途端 立ち枯れていく淡いまぼろし

4
あれこれは全部むかしの出来事で今の僕らを責めたりしない

5
映画館で手もつなげない僕らは結ばれるべき場所を知ってる

6
人類の歴史に刻まれなくたって僕の海馬に焼き付いている

7
君を好きになってよかった 後悔も弱さも全部愛せるから

8
スコールの後にかかった虹を見て「これでいいのだ」呟いてみた

9
いつまでも許せずにいる愚かさを優しさと呼び微笑んだ君

10
何もかもこの日のためと思えたらどんな苦悩にも言う「ありがとう」