短歌 中央線

1
街中のネオンサインを消し去って残る文字こそ私の名前

2
泣きながら生まれてきたしこの頃は笑ってみても咎められない

3
通過駅に懐かしい名を見つけて頭の中で絶叫をする

4
繋ぐ手に嘘偽りはありません 冷や汗動悸 いいえときめき

5
東京をドヤ顔をして通過する中央線に宿る郷愁

6
いくつもの終わりを見てる線路上をなめらかに行くぼくたちの罪

7
歴史家が興味深いと言っていたエッグタルトの正しいレシピ

8
君たちの背伸びのしかたが悲しい 誰もほんとの身長じゃない

9
定刻を一分過ぎただけなのにいともたやすく呼吸困難

10
一言も誰も喋らないライナー 乗り違えたか天国行きか