短歌 動機

1
夢を見て夢が破れて夢のなか夢にまでみた夢の世界よ

2
夏空を誰も見上げず笑ってる ノートの隅が日のあたる場所

3
あの夜を小瓶に詰めて朝が来ることを嫌がるまぶたに塗った

4
鐘の音が響いていると君は泣く カーテンだけがゆらと応えた

5
優しさはひまわりみたい うつむいて朽ちても誰も気にも留めない

6
空に星 地に海 風が歌う星 私の部屋は何処にもないの

7
何ひとつほんとのことを教えない それがあなたの優しさですか

8
今もなお海馬に遺る体温を拒絶するために卵を割る

9
どうせならちゃんとぜんぶを潰してよ 原型なんて留めないでよ

10
太陽の子ではなかった私たち それが犯行動機のすべて