短歌 卒業

1
へたくそな口笛だって構わない 今はひたすら声がききたい

2
桜色の袴が似合う人でした ほんとに淡く散ってしまった

3
嫌いとは愛の同義語 三月の空になびかぬ切りすぎた髪

4
アイシャドウなんてつけない 嘘のない瞳で君を見ていたいから

5
ツーアウト満塁みたいな恋をした 次の一手が決定打なの

6
居残ったざわめきがまた暴れ出し蕾のきみをこじ開けてゆく

7
萌芽とは青年の春に訪れる葛藤の蔦を断ち切るカード

8
羊たちのさえずりを聞く卒業式 悲鳴が礼賛される儀式

9
もう自由つまりあなたはもう孤独それが嫌なら求めてみせよ

10
ようやっとあたしあなたを卒業し古い日付けの手帳を捨てた