短歌 灰色

1
これ以上嘘はつけない幸せになったところでそれ嘘だから

2
テーブルにとまった羽虫を潰してほんの小さな罪に溺れる

3
もう誰も思い出さない忌念日が私の手帳にシミをつけてる

4
笑うしかない僕らには嘆く暇なんてないからもう笑うしか

5
手編みしたマフラーなんて今どき首に巻いたら絞められそうだ

6
色のない街に暮らして君だけが私のなかで色づいている

7
灰色はネズミ色ともいわれるしもう少しだけ可愛くていい

8
毎日に君を添えたらカラフルになるとわかってパレットを買う

9
もう嘘はつかない幸せに背中を向けて眠りたくない

10
一瞬の花火のごとく人生は輝き放ち散るためにある