短歌 優しさ

1
優しさは真綿となってその首に巻きつくために存在してる

2
忘却はなだらかな線を描いてやがてあなたの鎖骨に刺さる

3
愛してる愛してたまだ愛してる 振り子の等時性を疑う

4
曇天でよかった私もう少し誰も呪わず生きてゆけそう

5
錠剤の半分がもし優しさであるならあなたの喉に焼きつくはずだ

6
「WC」これなんですがトイレではなくてワールドカップなんです

7
優しさと牙を抜かれただけのこと違いのわかる者はおらぬか

8
亡霊が出番を待ってる夏がくる あたしそろそろそっちいくから

9
記録より記憶に残るなんて嘘 マザーボードはすべて知ってる

10
誰がため優しくあるのもしかして月に向かってにゃんと鳴くため