短歌 無添加

1
この窓は君に続いているだろう 何があっても開けないだけで

2
三日月を飾ってみるとモミュの木は優しいほうへ輝きを増す

3
限られた命と知ってなお犯す過ちまでももはや愛しい

4
駅舎から海が見えると君は言う その水底に私は沈む

5
寝顔には邪推をしても意味がない みんな天使に還るのだから

6
優しさは無添加だよと笑う君 私にしたらじゅうぶんに毒

7
食卓の上に置かれた人形は通電すると走り出します

8
お疲れの君の隣でお疲れの私も舟を漕ぐ京王線

9
あと一つ何が一体足りないの 求めただけの虚しさは友

10
安らかに今は眠れよ明日また狂っていても私が許す