短歌 冬空

1
底冷えの街に暮らして明日もまた同じ夕陽を待ちわびている

2
街はもうクリスマスなどは置き去りそんなものさと笑うみなさん

3
から回る歯車抱いて星空を見上げ損ねる日々を重ねる

4
ほらここが孤独の巣だと指をさす左の胸の16ビート

5
僕たちはひとつになれずこの街で影と涙を落とし続ける

6
たなごころ開いて閉じてまた開く ぬくもり確か憂いも確か

7
正しさは窮屈だから三つ編みはほどいてしまえ優しくなれる

8
くるくると濡れた落ち葉が照らし出す横顔に刺す私の悪意

9
問いかけはただ虚しくて冬空をゆく一頭のペガサスよ来い