短歌 不思議

1
突然に私の頬に雨が降る 過日に捨てた夢の破片だ

2
セイハロー、天国に向けセイハロー、そろそろ着いた頃だと思う

3
優しさはこころの果実と心得て熟れたらそっと左手でもぐ

4
北風に怯えた日々もあったけどジャズのリズムで乗り越えてみて

5
あたたかさだけが正しいわけじゃない 気づきを与えてくれる冷たさ

6
棘や毒、牙よりもっと怖いのは言葉という名のヒトの劇薬

7
被害者が誰だか既にわからない 犠牲者たちがくぐる正門

8
この夜がずっと続けばいいのにな ヒカリはヒトを狂わせるから

9
背中から羽が生えたはいいけれど満員電車に乗れなくなった

10
るいしてあ 魔法の言葉 るいしてあ 影を縛って動けなくする